製品紹介
シランカップリングセラミックス<FZC>・酵素固定複合セラミックス<FZ>
従来のFZ(フィルザイム)は微生物の固定化用担体として、必要な下記の性質を備えています。
① 微生物の固定に適した細孔(細孔経:数µm~数10µm)を多く保持している。 |
② 機械的強度に優れている。 |
③ 熱的、化学的に安定している。 |
④ 微生物に有害な物質を溶出しない。 |
⑤ 親水性、吸着性を兼ね備えている。 |
これからの性質に加えて、微生物が担体に吸着固定される際に働く力のうち、特に微生物並びに担体表面電位に起因する静電引力に着目し、FZC(シランカップリング)を開発しました。
水溶液中に懸濁する粒子表面の電気泳動速度により算出するブリュックスセルを用いて、各種微生物並びにセラミックスの表面電位を測定したところ、Ph3.0における各種微生物の表面電位は酵母、枯草菌、大腸菌ともに、負の表面電位を持つものが多いことが判りました。
一方、セラミックについても同様に表面電位を測定した所、アルミナ+27.6mVとプラスの表面電位を持つものの(FZの組織20%)、他の多くのセラミックは
-20~-30mVの値を示し、マイナスの表面電位を持つものが多いことが判明しました。
表面電位がマイナスとマイナスでは、微生物とセラミック間に静電的な反発力が働いてしまいます。
そこで、菌体固定化量の向上を目指し、フィルザイルの表面にプラスの官能基を導入することに、電位をプラス側にシフトさせることを試みました。
そして、官能基を導入する為の化学修飾剤として、シランカップリング試薬をFZに加工した結果、各種アミノ基の導入により、表面電位が+236mVまでプラス側にシフトする事が可能となり、更に、担体表面電荷がプラス側にシフトした担体ほど、マイナスの電位を持った微生物を多く固定している事が判明しました。
このカップリング処理をすることにより、FZCは油脂分の吸収分解に優れたFZと比較して、高濃度の油脂分のみならず、高BODに対しても処理能力・精度において処理範囲が広がりました。
※高濃度酸素共給装置を使用します
FZCに保持された微生物を有効に働かせる為、十分な酸素を供給することが必要です。
FZC処理システムは、通常の曝気と併用して濃縮酸素供給装置(PSA)を使用し、大気中から安価に高濃度酸素ガスを抽出します。
大気中には21%の酸素が含まれていますが、吸着材(合成ゼオライト)により窒素を除去し、濃度90%以上の酸素ガスを作ることが出来ます。濃縮された酸素は気液溶解装置により、水中に溶解・噴射。この微細な泡はマイクロバブルとなり滞留します。
この気泡は電荷を帯び、マイナス側に帯電しており、FZCがプラスの表面電位が強い為、効率良く吸着し、微生物の働きを大幅に促進します。
又、排水処理過程で発生する悪臭ガス(硫化水素・メチルメルカプタン・アンモニア等)の発生を抑制する効果もあります。
フィルザイム(FZ)とは
粘土、及び珪石を主成分とした無機質連続多孔性セラミックスに、自然由来酵素含有製剤を混合し、固定化した特殊セラミックスです。
弊社セラミックス吸油材 FA タイプの優れた油脂吸着能力を生かしながら、酵素の持つ油脂分解能により、セラミックスに吸着された油脂分の処理が可能です。また、無機質連続多孔性セラミックスの気孔径、表面積、及び保水性、通気性等の物理的特性により、バクテリアの担持体としての能力にも優れています。
FZタイプ ボールキャリア(現行品)
FZ160Dカプセル(新製品)寸法比較
現行品の仕様比較
新製品 FZ160D FZC160D (カプセル) | 現行品 FZ FZC (ボール) | ||
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ケース材質 | ポリスレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体 | ポリプロピレン | |
寸法 | 160φ(球体) | 125φ(球体) | |
開口率 | 50% | 85% | |
セラミック充墳量 | 500g/個 | 360g/個 | |
ケース充墳密度 | 300個/m3 36個/m2 | 494個/m3 64個/m2 | |
ケース比重 | 0.05 | 1.3 | |
特 性 |
pH | 7.06 | |
嵩比重 | 0.55~0.60 | ||
気孔率 | 60% | ||
気孔径 | 10~120μm | ||
表面積 | 約0.9~1.4m2/g | ||
吸水率 | 90~100% | ||
吸油率 | 90~100% |
FZ160D・FZC160Dの使用方法
水位の変動がある場合(流量調整槽など)
①全面曝気のため散気管は底部全面にバランスよく配置する。
②曝気強度は「4」を基本とする。
③FZ160D・FZC160Dは、槽水面積の85%となるように投入する。
ただし、流入濃度(BOD、n-Hex)および滞留時間、除去率などの条件により調整する。
④年に1度カプセルの交換をする。(投入量の3%)
カプセルに充填したFZが目減して軽くなると水面下のカプセルが浮上してくるので網などですくいあげる。内部FZが50%減のカプセルは交換する。
⑤BODの除去率を促進する場合、濃縮酸素供給装置を曝気と併用する。
水位の変動がない場合(曝気槽など)
①水面下約200mmに格子状の押さえでカプセル全面を沈めるように設置する。水面下に均一に浮遊させることで接触効率が確実性を増す。
②槽内を多槽式とし、槽の仕切りを多くすることで短絡を防ぐと共に多槽を通す事で除去率を高める。
③移流口は対角線上に設けて短絡を防ぐ。
処理フロー
①浮上油分離槽
排水中の浮上油を、スカム状として補促し、定期的(1回/月)にメンテナンスにて消化槽へ移送します。
②油脂吸着分離槽
排水をフィルザイムと接触させることにより、吸着された油脂分の処理と、バクテリアでの生物分解を促進させます。
③油脂貯留消化槽
しさ槽・浮上油分離槽の油泥を受け入れ、時間をかけて(約30日)フィルザイムと接触させ、分解、消化を促進させます。
油泥は、投入量の90%前後が減容化されることで産廃処理費の削減が可能です。
省スペース設置
処理能力が高く、汚泥発生量が少ないので、省スペース設置にも対応。
フィルザイムを内蔵したタンクは、軽量、コンパパクト。
フィルザイムが高度な処理能力を発揮するため汚泥量も少なく、システムもシンプルに構成できので省スペース設計を実現しました。
短期間の工期で設置できるので、イニシャルコストも削減できます。
ローコスト
ランニングコストが大幅に削減
他の担体排水処理システムは、余剰汚泥が大多量に発生するため、数ヶ月に1度の汚泥処理が必要で、そのための経費がかかりました。
フィルザイム吸着分解システムは、汚泥が発生しにくいので、汚泥処理の経費を大幅に削減。維持管理やランニングコストが抑えられます。
又、毎月の薬品やバクテリア製薬が不要。